在宅支援診療

実例エピソード

この頃、
もっと生きたいと思うようになりました

スタッフ日記

「僕が生かされている理由はなんだろうか」

「家事は、全部家内にまかせっきりだったからねえ。冬服がどこにしまってあるのかわからなくて…。今日は少々薄着で来ました」。
笑顔の中に悲しい表情を浮かべながら初対面のごあいさつをなさったTさんがデイービスを利用されるようになったのは、80歳の時でした。その頃のTさんは、「僕が生かされている理由はなんだろうか」「今すぐ死んでしまってもいいんだ…」「早く家内のところに行きたいなあ…」と、何かにつけて目を潤ませることが多かったように思います。
50年間連れ添った最愛の奥様は、金婚式を迎える4カ月程前に突然倒れあっという間に帰らぬ人になってしまいました。二人暮らしだったTさんは、突然一人ぼっちになり悲しみのあまり毎日泣いておられたそうです。デイサービスに通い出した頃も「今日も泣いてきたよ」と、目を腫らして来られることが度々ありました。励ますつもりで奥様との思い出話をお願いしたのに逆効果になることもあり、私たちも申し訳ない気持ちでいっぱいになったものでした。

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デイサービスに通い続けるうちに外出も笑顔も増えて…

しかし、通い続ける間に笑顔が増えてきて、趣味で撮り続けている写真を見せてくださったり、職員宛てにパソコンで打った手紙や日々の心情を書きつづった日記などを持参することが何よりの楽しみなっていかれました。
ある日、車やバイクが好きなTさんは、教員時代に乗っていた自動車が恋しくなり悩みに悩んだ末に購入されました。ご利用日ではない日に、とびきりの笑顔で自慢の自動車を見せに来てくださったこともあります。「ローンが終わるまでは死ねないな」なんて冗談も飛び出したりして…。最近は、少年のようにおどけてみせたり、先生のようにいろんなことを教えてくださったり、外出する機会も会話も増えて表情も一段と明るくなってきました。そうしたTさんの変化は、私たちにとってもうれしく元気の源になっています。

3回目の誕生祝いも
「元気サポート小倉寺」で

2回目のお誕生会を開いた時に頂戴したお手紙は、私たちの大切な宝物です。そこには、失望のどん底にいた時に「元気サポート小倉寺」を紹介されたこと。心のこもったサポートに心身ともになごんできた頃、突然ケーキやキャンドルが出てきて「今日は、Tさんの誕生祝いです」とお祝いをしてもらってびっくりしたこと。奥様が亡くなられたときは、早くそばにいきたいと思っていたけれど、長生きできて2回目の誕生祝いもみんなと一緒にできて本当にうれしいとありました。結びには「この頃、もっと生きたいと思うようになりました。気持ちが変わったのです。これからも頑張って3回目の誕生祝いをしてもらえるようになりたいと思います。所長さん、職員の方々、そして『元気サポート小倉寺』を利用されている皆様。全員そろって元気に、ゲンキニデスヨ!長生きしましょう。本日は、本当にありがとうございました」と書かれてありました。

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Tさんの心の避難所のような存在であり続けたい

「もっと生きたいと思うようになりました」。なんと素敵な言葉でしょう。私は、Tさんからこの言葉を聞くことを待っていたのかもしれません。じんわり心が温かくなり、喜びでいっぱいになりました。Tさんの奥様への気持ちは、消えることはないと思います。しかし、それ以上に「元気サポート小倉寺」での生き甲斐、生きる理由を作っていくことを私たちは、サポートしていきたいと思います。そして、Tさんにとっての心の避難所のような存在であり続けたいと思います。

■実例レポート|もっと生きたいと思うようになりました(2015年1月記)

※この度の体験談のご紹介にあたり、掲載へのご承諾ご協力をくださいましたT様に心より感謝申し上げます。